よくある質問

ストレスチェック制度について(平成27年12月1日施行)

質問

従業員62名のIT関連の事業者です。ストレスチェック制度が今年の12月1日から施行されるそうですが、制度が設定された経由やその法的根拠について、またどのような内容のものなのか、どう取り組んでいけばよいのかなど説明してもらえないでしょうか?

 
答え

ストレスチェック制度とは、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度で平成27年12月1日から施行されます。(但し、従業員50人未満の事業場は当分の間は努力義務です。)

職場において、うつ病と言われる症状をもった従業員が増えています。感情、意欲、思考の低下などの精神症状と、睡眠障害・疲労・倦怠感などの身体症状に分けられます。

本人、家族などからの医療面接、チェックリストによる調査診断基準などを総合して、専門医学会作成の診断基準などを参考にしながらうつ病の診断が行われているようです。
増え続ける職場におけるうつ病患者などの予防と回復の確保対策として、メンタルヘルス対策が講じられてきました

このような問題の背景として長時間労働などによる弊害も指摘されております。
企業においても長期欠勤、休職、退職及び解雇などの問題が発生し、そのため事業の正常な運営の妨げとなる悪影響をも与える結果となっています。
他方、患者が自殺未遂を起こすなど大きな社会的問題となってきており、昭和59年に初めての過労自殺労災が認定されました。
その後メンタルヘルス対策に関する施策が次のように、事業場における健康保持増進のための指針、精神障害に係る自殺の取扱いについて、職場における自殺の予防と対応、職場復帰支援の手引き、労働者の心の保持増進のための指針、心理的負荷による精神障害の認定基準について、職場のパワハラ対策の推進について、などの指針・通達が発翰されてきました。
その間に、安衛法の改正(面接指導の義務化)、労働契約法の制定(H19/12)、労基法施行規則省令(精神障害が業務上疾病として明記 H22/5/7))などがあり、そして平成26年3月に「安全衛生法の一部改正案」が国会に提出、同年6月25日に公布されました。

平成27年12月1日から施行されることになっています。

以上例示したように、うつ病などのメンタルヘルス対策が次々に打ち出された末、労働安全衛生法の改正が行われ、次の法第66条の10が追加制定されました。

平成26年改正の「労働安全衛生法」に、「第66条の10」として新たに追加された「心理的な負担の程度を把握するための検査等」の条文の概略は次の通りです。

【第66条の10】
1
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健婦その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。

2
事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。

3 
事業者は…省令で定める要件に該当する者が医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、・・・医師による面接指導を行わなければならない。事業者は・・・申し出をしたことを理由として・・・不利益な取扱いをしてはならない。

4 
事業者は・・・前項規定の面接指導の結果を記録しておかなければならない。

5 
事業者は・・・面接指導の結果に基づき・・・健康保持を保持するために必要な措置について・・・医師の意見を聴かなければならない。

6 
事業者は、・・・医師の意見を勘案し、・・・必要があると認めるときは・・・実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるはか、・・・衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない

7 
厚生労働大臣は、・・・適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

8 
厚生労働大臣は・・・指針を公表した場合・・・事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

9 
国は・・・医師等に対する研修を実施するよう努める・・・労働者に対する健康相談の実施・・・健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めるものとする。

以上がストレスチェック制度が法制化されるまでの経緯と法条文の要約です。

(注1)『事業者』に義務付けられた → 労働者50人未満の「事業場」については当分努力義務
(注2) 62名中、1か所の 事業場で50名以上在籍しているとその事業場は義務化対象事業場(者)となります。

「常時50人以上の労働者を使用する事業者」として1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査を行い検査結果等の報告を所轄労働基準監督署長に提出する義務を負うことになります。(省令52条の21)

その後本年4月15日、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針が公表されていますので以下によりご確認ください。
参照リンク http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000069013.html

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