よくあるご質問 / 法改正動向等
=Q&A集=
【健康保険制度】
➽ パートタイマーの社会保険制度への加入要件について |
➢Q. 食品関係の製造小売業を営んでおり、都内及び近県に自社店舗7店と百貨店等に出店しております。
販売部門は長時間営業のため変形労働時間制や交代制勤務制度を敷いております。社員も、正社員、有期契約社員、短時間勤務、週3日勤務など多様な社員が就労しております。
そこで短時間勤務の社員の社会保険の適用について確認したいのですが、昨年の算定基礎届の提出時に日本年金機構から一般社員の労働日数や労働時間数の、おおむね4分の3以上あれば健康保険・厚生年金の加入をしなければいけないと指摘されました。
パートタイマーの半数は、その基準に該当する月もあれば該当しない月もあります。どう判断すべきかご教示ください。
➢A. 「被用者保険法」は、臨時に使用される者、季節的業務に使用される者等を被保険者としない旨、明文を持って規定していますが、勤務時間、勤務日数が少ない「短時間労働者」の取扱いについては、法文上は特別な規定はありません。
短時間労働者に関しては、行政実務において、1980年(昭和55年)厚生省「内かん」(通知・指示・通達等の意)をもって一定の者を適用除外とするとされています。
内かんは「健康保険及び厚生年金保険が適用されるべきか否かは・・・当該就労者が当該事業所に常用的使用関係にあるかどうかにより判断すべきもの」とし、具体的には「所定労働時間及び所定労働日数が・・・通常の就労者の・・・おおむね4分の3以上」である場合に、この「常用的使用関係がある」としています。
この80年内かんが「4分の3ライン」の適用範囲を画す境界を示したもので、判例も被保険者資格の有無を判断するに当たって常勤性を重視する動向となっており、被用者保険法は行政機関に政策的な裁量を認めていると解されます。
具体的には、ひとつの目安として御社の一般社員の労働時間のおおむね4分の3、労働日数のおおむね4分の3以上の労働時間及び労働日数の両基準を満たしたときに被保険者となります。現在は週の労働時間30時間以上が目安とされています。
なお、平成24年の年金機能強化法により、健康保険法・厚生年金保険法に4分の3条項が明文化され、短時間労働者に対する保険適用の拡大が平成28年10月1日から501人以上の企業に対して次のように適用・施行されます。
① 週20時間以上 ② 報酬月額8.8 万円以上(年収106万円以上) ③ 1年以上の使用生期間 ④ 学生は適用除害
➽ 同月資格喪失と同月資格取得者への賞与支給からの保険料徴収についてのご確認 |
➢Q. 定年退職後、高年齢雇用継続再雇用制度の適用により資格の喪失と資格の取得を同時に行う者がおります。当月は賞与支給月に当たりその数日前に賞与支給予定です。賞与から健保・年金の保険料の徴収はどうなりますか
➢A. 月の途中で同日得喪する場合の同月支給の賞与の社会保険料の徴収は、賞与支給日により異なった取扱いとなります。同日得喪の場合、資格喪失月に支払われた賞与についても通常の賞与支払と同様に「賞与支払届」は必要となります。
但し、資格喪失日前に支給される賞与からの保険料徴収は不要となります。
P.S.平成27年10月に改正される同月得喪に関する保険料取扱いの変更事項 ⇒ これまでは、厚生年金保険の被保険者資格を取得し、その月に資格を喪失し、更にその月に国民年金の資格を取得した場合には、両方の保険料を納付する必要がありましたが、平成27年10月1日以後は国民年金保険料のみを納めることになりました。(厚生年金保険料の納付は不要となります)
【厚生年金保険制度】
➽ 老齢基礎年金の受給資格期間について |
本人の履歴では、今までは社会保険の適用していない事業所に勤務しており、またその間独立した自営業者として働いていた期間もありますが、殆んど保険料を納付してこなかったようです。
会社として本人の質問や心配に対してどのように説明すればよいのでしょうか?
ご存知の通り、国民年金は原則として60歳まで、厚生年金は70歳まで加入することができます。その方はこれから国年なら15年、厚年なら25年間もの加入可能期間があります。但し、25年の受給資格期間には厚生年金の加入期間も含まれます。また、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も含まれます。
国民年金や厚生年金の給付としては、主に老齢・障害・遺族等の年金給付があります。そしてそれぞれの年金には「給付の条件」があります。
仮に現在、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていないとしても、これからの保険料納付状況により、障害又は遺族年金等の給付条件を満たすことによって、それらの年金給付を受けられることになります。
更に、将来の無年金者の発生を防ぐため老齢基礎年金の受給資格期間を25年以上から10年以上に短縮される予定です(「年金機能強化法」(H24/8/10成立)但し、実施されるのは、消費税率10%への引き上げ時(平成29年4月)となっています。)
以上のような点をご説明されて見てはいかがでしょうか。
【雇用保険制度】
雇入れ関係の助成金の支給申請時の解雇要件について |
Q. この度、雇用関係の助成金支給申請(特定求職者雇用開発助成金他)をしようとしましたが「支給対象事業主」の中に、支給申請時点において「事業主都合による解雇をしていない事業主であること」とあります。
当社では今からちょうど1ヵ月前に、勤務成績や態度など資質・能力などの適格性に疑問があると判断したため就業規則により、本採用せず3ヵ月の仮採用期間満了とともに退職を勧奨し、解雇手当金を支払って退職した者が1名おります。
雇用保険の資格喪失届は原因3「事業主の都合による離職」(勧奨による任意退職)として届出してあります。このように試用期間中の場合にも、助成金申請時には「事業主の都合による解雇」に該当するのでしょうか。
A. まず最初に試用期間中といえども、採用日から14日を超えて引き続き雇用しておりますと解雇予告制度が適用されます。また、適格性に疑問とありますが試用期間中は、基本的に解約権留保付労働契約が成立していると考えられます。
次に試用期間満了時の本採用の拒否は、ご指摘のように本人の能力面など適格性に欠けると判断した場合、解雇権の濫用とならなければ、留保解約権の行使は法的に認められる場合もあると思います。
法的には労働契約の解約、即ち解雇にあたり、客観的合理性、社会的相当性の双方ともなければ、解雇権の濫用として無効であるという判例がありますのでご注意ください。
本題に入ります。確かに各種助成金を受給するに当たって、
①
対象労働者の雇入れの日の前日から起算して6か月前の日から1年間を経過する日までの間に、当該雇入れに係る事業所において、雇用する被保険者(短期特例及び日雇被保険者を除く)を事業主都合による解雇がないこと
②
(対象・・・事業所においてまでは①と同じ)特定受給資格者となる離職理由により雇用する被保険者(短期及び日雇被保険者を除く)を、当該雇入れ日における被保険者数の6%を超えて、かつ4人以上を離職させていない事業主(特定受給資格者となる離職理由により離職した者が3人以下の場合を除く)とあります。
要約すると、事業主の都合による退職者発生日以後6ヵ月間、解雇者等がなく、その後(6ヵ月経過後)に新規雇入者(仮にAさんとします)がおり、更に6ヵ月経過した後、つまり会社都合による退職者発生日から1年間経過した日以後、会社は支給対象事業主となり、Aさんも受給できる対象労働者に該当することになります。
なお、本件については所轄のハローワークとよくご相談なさるようお勧めいたします。
【労災保険関係】
精神障害の労災認定状況について |
Q. ストレスやうつ病による自殺など、精神障害が業務に起因するものとして、労災認定されているようですが、過重労働や仕事による強いストレスなどの負荷に原因するものとして、どれだけの数の労災保険の請求や認定がなされているのでしょうか。精神障害の労災補償の認定状況と概略でいいですが新しい認定基準による評価方法などの内容について知りたいのですが・・・・
A. ご指摘のように 、精神障害と認定されるのは、精神障害の発病の原因が「仕事による強いストレス」と判断される場合に限ります。発病の原因については、発病前概ね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められることなど、医学的に慎重な判断がなされます。業務外の心理的負荷や個体側要因による発病などは認められません。
厚労省では過重な仕事や強いストレスが原因で発症・発病した脳・心臓疾患や精神障害の状況について平成14年度から請求件数及び支給決定件数を発表しています。
精神障害による労災請求が増加しており、その原因が業務に起因するものかどうかの迅速な判断が求められていたため、厚生労働省では、平成23年12月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を新たに定めました。
その後、この基準に基づいて、精神障害の労災認定が行われています。
厚労省が平成26年6月27日に公表した、平成25年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を取りまとめ、公表しています。精神障害の労災請求件数は労災請求件数は1,409件(前年度比152件増)と過去最多となっております。
平成25年度中に「業務上」と認定した支給決定件数は436件(25年度以前請求分も含む)となっております。
業種別にみると請求件数では①製造業②医療・福祉③卸・小売業、支給決定件数では①製造業②卸・小売業③医療・福祉
※因みに、脳・心臓疾患に関する事案では請求件数784件、支給決定件数436件となっております。
又、精神障害の場合には、職場環境の悪化、特に人間関係に起因するストレスなど、更に過重労働の防止、ハラスメント禁止規定の周知徹底、社内研修の定期的実施など心掛けたいものです。
なお、「業務による強い心理的負荷」については、次の評価表を参考として活用するようお勧めします。
心理的負荷による精神障害の新認定基準の概要についての評価表
P.S. 平成27年6月25日に公表された平成26年度の「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の労災請求件数1,456件、支給決定件数497件となっており、それぞれ前年度比47件増、61件増と、共に過去最多となっています。
平成26年度過労死等の労災補償状況 過去5年間の精神障害の労災補償状況
また、業務上疾病の発生状況や過去の労働保険判決例等については次の資料でご確認ください。
「業務上疾病発生状況等調査表(平成26年)」 「労働保険判決例」
【労働安全衛生法関係】
ストレスチェック制度について 平成27年12月1日施行 |
Q. 従業員62名のIT関連の事業者です。ストレスチェック制度が今年の12月1日から施行されるそうですが、制度が設定された経由やその法的根拠について、またどのような内容のものなのか、どう取り組んでいけばよいのかなど説明してもらえないでしょうか?
A. ストレスチェック制度とは、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度で平成27年12月1日から施行されます。(但し、従業員50人未満の事業場は当分の間は努力義務です。)
職場において、うつ病と言われる症状をもった従業員が増えています。感情、意欲、思考の低下などの精神症状と、睡眠障害・疲労・倦怠感などの身体症状に分けられます。
本人、家族などからの医療面接、チェックリストによる調査診断基準などを総合して、専門医学会作成の診断基準などを参考にしながらうつ病の診断が行われているようです。
増え続ける職場におけるうつ病患者などの予防と回復の確保対策として、メンタルヘルス対策が講じられてきました
企業においても長期欠勤、休職、退職及び解雇などの問題が発生し、そのため事業の正常な運営の妨げとなる悪影響をも与える結果となっています。
他方、患者が自殺未遂を起こすなど大きな社会的問題となってきており、昭和59年に初めての過労自殺労災が認定されました。
その後メンタルヘルス対策に関する施策が次のように、事業場における健康保持増進のための指針、精神障害に係る自殺の取扱いについて、職場における自殺の予防と対応、職場復帰支援の手引き、労働者の心の保持増進のための指針、心理的負荷による精神障害の認定基準について、職場のパワハラ対策の推進について、などの指針・通達が発翰されてきました。
その間に、安衛法の改正(面接指導の義務化)、労働契約法の制定(H19/12)、労基法施行規則省令(精神障害が業務上疾病として明記 H22/5/7))などがあり、そして平成26年3月に「安全衛生法の一部改正案」が国会に提出、同年6月25日に公布されました。
平成27年12月1日から施行されることになっています。
以上例示したように、うつ病などのメンタルヘルス対策が次々に打ち出された末、労働安全衛生法の改正が行われ、次の法第66条の10が追加制定されました。
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平成26年改正の「労働安全衛生法」に、「第66条の10」として新たに追加された「心理的な負担の程度を把握するための検査等」の条文の概略は次の通りです。
【第66条の10】 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健婦その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。
3 事業者は…省令で定める要件に該当する者が医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、・・・医師による面接指導を行わなければならない。事業者は・・・申し出をしたことを理由として・・・不利益な取扱いをしてはならない。
4 事業者は・・・前項規定の面接指導の結果を記録しておかなければならない。
5 事業者は・・・面接指導の結果に基づき・・・健康保持を保持するために必要な措置について・・・医師の意見を聴かなければならない。
6 事業者は、・・・医師の意見を勘案し、・・・必要があると認めるときは・・・実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるはか、・・・衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。
7 厚生労働大臣は、・・・適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
8 厚生労働大臣は・・・指針を公表した場合・・・事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。
9 国は・・・医師等に対する研修を実施するよう努める・・・労働者に対する健康相談の実施・・・健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めるものとする。
以上がストレスチェック制度が法制化されるまでの経緯と法条文の要約です。
(注2) 62名中、1か所の事業場で50名以上在籍しているとその事業場は義務化対象事業場(者)となります。
「常時50人以上の労働者を使用する事業者」として1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査を行い、検査結果等の報告を所轄労働基準監督署長に提出する義務を負うことになります。(省令52条の21)
参照リンク http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000082587.html へのリンク
労働基準法改正法案 閣議決定 今通常国会に提出される |
Q. 労働基準法が改正され、賃金が労働時間ではなく成果によって支払われる制度が導入され、時間外、休日、深夜の割増賃金の規定を適用しないことになるそうですが、具体的にはどのような制度が、いつから施行されることになるのですか。 |
A. 平成27年4月3日、政府は労働基準法改正案を閣議決定し国会に提出しました。今国会で成立すれば、平成28年4月1日から施行されることになります。
しかし、改正点には労使の考え方に大きな相違がありますので審議の進展を見ないと成立するかどうかは分りません
改正案のポイントは次の点です。
1.月60時間超の時間外労働に対する割増率5割以上とする中小企業への猶予措置の撤廃 ? 施行日は平成31年4月1日に猶予
2. 年次有給休暇の取得促進 ? 年10日以上の年休付与者に対して、5日は年休を取得させなければならない。
3. フレックスタイム制の「清算期間」上限の延長 1ヵ月 ⇒ 3ヵ月
4. 企画業務型裁量労働制の拡大 対象業務に2種類追加
① 事業運営に関する事項について企画、立案調査及び分析を行い、その成果を活用して裁量的にPDCAを回す業務」と
② 課題解決型提案営業とを追加
5 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェショナル制度の創設)
※その他、健康確保のための時間外労働に対する指導の強化、労働時間等の設定改善に関する労使の自主的な取組みの促進.などです。
労働基準法の一部を改正する法律案の概要についてのPDFファイルは ?
【就業規則他・諸規程関連】
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➢Q. 各地に小売業の店舗(主に食料品中心)を展開しております。以前から販売部門ではフレックス社員制度、地域密着型コミュニテイ社員制度があり、その役割も働き方も様々で現在までは、比較的に必要な人材を確保できておりました。
教育、登用の機会も公平に、成果に応じた処遇改善も行ってきたつもりです。これからも時間、場所、評価もより柔軟な組織風土を目指しております。
近年、労働力減少時代の雇用システムとして多様な人材の活用・能力発揮が叫ばれております。その考えの中心に位置する「限定正社員制度」導入の目的と問題点について改めて確認しておきたいと思います。
次に、既存の就業規則の変更、新たな制度導入による就業規則の作成等で注意すべき事項などについてご指摘いただけたらと思います。
A. 既に優れた人事諸制度が機能されているようですが、まず、「限定正社員制度」の基本的な考え方の経緯についての確認です。
政府は、平成25年6月14日、『日本再興戦略」において職務等に着目した多様な正社員モデルの普及・促進を図るため、政府は有識者懇談会を立ち上げ、労働条件の明示等『多様な正社員』の普及・拡大のための検討をしてきました。
【日本再興戦略】改訂 2014ー未来への挑戦ー(平成26年6月24日)「多様な働き方の実現」に向けた検討を開始しました。その中で
① 働き過ぎ防止のために、「朝方」の働き方の普及、
② 一定の年収要件を満たし、職務範囲が明確で高度な職業能力を有する者を対象とした「新たな労働時間制度」の創設
③ 裁量労働制の新たな枠組みの構築
④ フレックスタイム制の見直し
⑤ 職務等を限定した「多様な正社員」の普及・拡大
⑥ 最低賃金の引上げの環境整備等の実現等を目指しています。
その他にも、紛争解決システムの構築、外部労働市場の活性化、(ジョブカードからキャリアパスカードへ、能力評価制度の見直し、キャリアコンサルの体制整備、官民共同による外部労働市場のマッチング機能の強化、職業訓練のベストミックスの推進など)、
更に、女性の活躍推進、、若者・高齢者等の活躍推進、外国人人材の活用等です。
【多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会報告書】(平成26年7月)には
Ⅰ 労働市場における現状と「多様な正社員」の普及の必要性
Ⅱ 多様な正社員の円滑な活用のために使用者が留意すべき事項と促進するための方策
についての報告があります。そのなかで多様な正社員の効果的な活用が期待できるケースとして
(1) 勤務地限定正社員 ? 主要なタイプ
(2) 職務限定正社員 ? 曖昧さがある(資格職務の多い業種(医療、福祉、教育、製造職・・・)
(3) 勤務時間限定正社員の3つに区分しております。 (※これらの複合型もあり)
2 労働者に対する限定の内容の明示、
3 事業所閉鎖や職務の廃止等の場合の対応
4 転換制度
5 処遇
6 いわゆる正社員の働き方の見直し
7 人材育成・職業能力評価
8 制度設計・導入・運用にあたっての労使コミュニケーション等を留意すべき事項として挙げております。
「多様な正社員」普及・拡大にための報告書のポイント (平成26年7月30日) 効果的な活用が期待できるケースとして
● 勤務地限定正社員の活用・・・育児・介護のため転勤困難者、有期契約労働者から無期転換の受け皿として、多店舗経営サ-ビス業従 事者など地域ニーズにあったサービスの提供、顧客の確保
● 職務限定正社員の活用・・・・・特定職能について高度専門的な職務従事者など(金融、ITなど)、資格の必要な職務
● 勤務時間限定正社員・・…・・・育児・介護のため長時間就労の困難者、自己啓発・キャリアアップの時間確保者など
※報告書の内容については ⇔ [多様な正社員導入・運用のための提言]
制度の導入・運用については上記リンクの有識者懇談会報告書にある提言をお読みいただき、導入事例等を参考にして取組んでください。
留意すべき事項としては ① 職務の廃止や事業所の閉鎖・廃止の際には解雇4要件の適用 ② 能力不足社員への対応 ③ 転換制度
の設計・対応 ④ 正社員との均衡ある処遇 ⑤ 多様性への対応(残業・配転・期間) ⑥ 人材育成、能力評価面からの職業訓練機会の
付与、支援 ⑦ 制度導入に当たっての労使コミュニケーションを図ることなどが提言されています。
就業規則及び有期雇用契約書について
上記『日本再興戦略』及び『規制改革実施計画』において、《・・・就業規則の規定例を幅広く収集し、情報発信を行う》こと等が決定されました。
更に、懇談会報告書では、留意事項として労働契約法を根拠としながら就業規則を定め、制度として明確にするよう強調しております。
支社、営業所が全国各地に所在していたり、多様・多種な業務や職種がある企業、育児・介護の必要な社員など、多様な正社員制度を導入し、正常に機能させるためには、これを機会に現存の就業規則を見直し、整備して未然のトラブル防止に努めたいものです。
● 就業規則や労働契約における限定の内容の明示の必要性
勤務地や職務について限定がある場合は、その旨と限定の内容について当面のものか、将来的にも限定されたものか明示しておくことが重要です。労使双方が認識しておくこと。これらをめぐる紛争を未然に防止し、将来の予測可能性を高めておく必要があります。
裁判例における限定の有無の判断においても、労働契約書に限定の有無が明示されていても認められない場合が多いようです。
労働契約書に、職務や勤務地は明示しているものの、それが当面のものか、将来的にも限定されたものか明示していない場合や、限定の有無や内容が異なる労働者について同一の就業規則の規定が適用される場合など、労働契約の成立時における労働契約書や就業規則の職務や勤務地の記載などのみで限定の有無を判断されることは難しいようです。
● 限定がある場合はその内容を就業規則で定めるとともに、労働契約の締結や変更(転換)の際に、その労働者に書面で明示すること。
● 労働契約の締結や変更の際に、限定がある場合は限定の内容について労働者に書面で確認することを明記し、明示すること。
● 「有期雇用契約書」については、雇用区分を明確化し、「就業の場所」、「従事すべき業務の種類」及び「勤務時間」等、勤務地、職務、勤務時間の限定に区分し、又、それらの組み合わせた内容を具体的に明示する。
●「限定正社員就業規則」の作成・・・限定正社員の定義を明確に規定・・・職種限定正社員については工場や部門閉鎖、特定取引の契約終了等が解雇理由であること。勤務地限定正社員については当該勤務地又は一定エリアの勤務地の事業所の閉鎖・消滅等が解雇理由であることなどを明確にしておく。
【人事労務 雇用管理の動向等】
パート労働者の均等・均衡待遇の確保について ~ 平成27年4月1日 施行~ |
説明は文書でしなければならないものでしょうか。その他の改正点についてもご指摘頂けませんか。
A. 改正パート労働法では新たに「雇入れ時の説明義務」に関する規定を新設(法第14条1項)し、雇い入れたときは、速やかに次の事項について(法9条から法13条の規定により)、当該短時間労働者に対する説明義務を課しています。
説明すべき事項は,次のような点についてです。
● 通常の労働者と同視すべきパート労働者の均等待遇 (法第9条)
● 賃金 (法第10条)
● 教育訓練 (法第11条)
● 福利厚生施設利用機会の均衡待遇 (法第12条)
● 通常の労働者への転換 (法第13条)
なお、「説明」は、契約更新時にも同様に説明義務を課しております。説明は、必ずしも文書によらず、口頭でも、説明会での説明でも構いません。雇い入れ時の説明は、労働者からの請求がない場合でも、労務管理上、行う必要があります。
※ その他新設された内容は次のような点についてです。
◎ 「相談体制の整備」に関する規定の新設 (法16条) ? パート労働者からの相談に応じ、適切に対応するための必要な体制の整備
相談窓口については、文書の交付等による明示が必要 (則2-1-4)。相談窓口は社外でも可です。更に、労働条件通知書を改め、相談窓口についても明記したほうがよいでしょう。
◎ 「事業主名の公表」制度の新設 (法18条2項) ? 法の実効性の強化のため、雇用管理の改善措置に関する規定に違反する事業主につき、勧告に従わないときは、厚労大臣が事業主名を公表することができるとなっています。その他、「報告義務違反に対する過料」の新設(法30条)などが主な改正点です。
Q. 平成26年4月から雇用保険、年金保険関係及び医療・介護保険関係の制度変更が行われると聞いておりますがどんな点が改正されますか?
A. 厚生労働省関係の雇用保険分野での主な制度変更点は要約すると次のような事項が変更されます。
① 改正雇用保険法の改正一部施行に伴い男女ともに育児休業取得促進のため、育児休業開始後6か月につき給付割合を67%に引上げる。
② 再就職手当に加え,離職時賃金と再就職後賃金の差額の6か月分を一時金として給付する。
③ 平成25年度末までとされていた失業給付の暫定措置について一部要件を見直しの上,3年間延長された。
④ その他,休職者支援について制度の見直しが行われています。
◇ 参照リンク
2014 陽春 SAKURA 千鳥ヶ淵緑道 01Apr.
【厚生年金基金関係】
Q. 現在、勤務先では同業組合を母体にして設立された厚生年金基金に加入していますが、AIJ問題の発覚以来厚生年金基金について芳しくない噂を耳にします。基金の解散などを含め制度存続の見直しや企業年金の課題など今後どのように推移していくのでしょうか? (平成26年1月10日)
A. 平成25年は企業年金にとって動きの激しい1年でした。平成25年6月19日に参院で可決成立した「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(厚生年金基金改革法)は、平成26年4月1日から施行されます。
①
施行日以降は年金基金の新設は認めない。
②
施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、基金解散時に国へ納付する最低責任準備金の納付期限、納付方法の特例を設け、分割納付における事業所間の連帯債務を外す。
③
施行日から5年後以降は、代行資産保全の設定基準に満たない基金は第三者委員会の意見聴取後、解散命令を発動できる。
④
上乗せ給付受給権保全支援のため、基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける。
特に注目すべきは、衆院における附則に「政府は、この法の施行日から起算して10年を経過する日までに、存続厚生年金基金が解散し又は他の企業年金制度等に移行し、及び存続連合会が解散するよう検討し、速やかに必要な法制上の措置を講ずるものとする」という一項を加える修正がなされている点です。(実質廃止法)
①・・・解散や他の企業年金等への移行を検討している厚年基金の要請に応じるため、本法の速やかな施行に努めるとともに、・・・解散や移行が円滑に行われるよう体制の整備を図ること。
②
総合型基金の解散に当たっては・・・基金及び母体企業への支援を行うこと。・・・
③ 基金の解散・移行に当たり、母体企業が退職金規程等に基づく退職給付義務を履行するよう指導を行うこと。
④
代行給付に必要な資産を有している基金が今後代行割れを起こすことのないよう・・・資産状況等に対してモニタリングを実施し・・・情報開示を促す・・・こと
要約すると
①
経過的には残ることもあるが原則廃止
②
特例的な解散を5年間の時限措置として導入したこと
③
財政健全基金は存続するが、法定存続基準を割り込んだ場合には解散命令が出される
④
他制度への移行を希望する場合は、柔軟な対応措置が講じられる
ということになります。
◆本年は企業年金の大きな変革の年になりそうです。厚生年金基金の代行返上、存続、解散の問題だけでなく、中小企業の企業年金、退職金の受け皿の確保の問題でもあります。
適年移行で4割が解約に至っています。それだけに受け皿制度の充実がより切実な対応課題となってきております。
◆公的年金がスリムになってきているだけに、企業年金の重要性は高まってきています。企業年金での債務認識など積立不足が生じにくいとしてキャッシュバランスプラン、又マッチング拠出、限度額の引上げ、脱退一時金の要件緩和などに道を開いたDCへの導入の広がりなどがみられます。NISAなどの仕組みも加入者投資に関連しDC制度発展に?がっていきそうです。
◆年金課税については、「少子高齢化が進み、年金受給者が増大する中で、世帯世代間及び世代内の公平性の確保や老後保障の公的年金、それを補完する企業年金をはじめとした各種年金制度間のバランス、貯蓄商品に対する課税との関係、給与課税等にも留意して、年金制度改革の方向性を踏まえて拠出、運用、給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する」としており、今後、年金課税改正が予測されます。
【労基法、均等法、育児・介護休業法関係】
Q. マタハラ被害の増加による解雇や退職が増加していると聞きますが用語の意義やその実態について又、企業ガ取り組むべき対応策にはどのようなものが考えられますか
A. マタハラとはマタニテイハラスメント(Maternity Harassment;)の略語で、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で受ける精神的・肉体的ハラスメント(嫌がらせ)のことを言います。妊娠・出産を理由とした解雇や雇止めなどで不利益を被ったりするなど不当な扱いを意味する言葉です。マタハラという用語の認知度は急速に高まってきております。
その実態についてはマスコミ等で報じられていますが、昨年5月に連合が行ったマタハラに関する意識調査の回答によると「セクシャルハラスメントされた経験」17.0%に対し、「マタハラされた経験」25.6%と被害の割合がセクハラを大きく上回っており、より深刻です。
妊娠・出産に伴う就業制限、産前産後休業、育児休業によって業務に支障をきたすという理由での退職を促す行為は、流産の危険性も伴い均等法や労基法に違反する場合も多く、対策が急がれます。
企業にとっては、産休・育休中の代替要員の確保、他の社員への仕事量の増加によるしわ寄せなど納得がいかないなどの批判もあり、他方、育休等の取得者も職場周囲の雰囲気を意識し遠慮しながら取得しているという回答であったようだ。男女の性差を問わずこの問題への関心は高い結果が意識調査に表れていた。
働く女性が子供を産みやすくする環境や制度を作ることは、長期的な視点に立って少子化対策としても効果があり重要なことである。いろんな生活環境下で働いている女性への安易なマタハラは生活基盤を危うくし、周囲との対立は望ましくない。
スキルや活かせる経験を持った女性が退職してしまえば企業にとっても社会にとっても損失である。
マタハラによる流産などで仕事を休んだための役職降格など、就業規則上の降格理由に該当しないなど問題も多い。妊娠,出産、職場復帰などについて就業規則を照合チェックし、仕事と育児の両立支援対策を講じることが求められています。
企業が取り組むべき対策としては次のリンク「就業規則チェックリスト」のP29~P33が参考になりますので確認してみてください。
⇒「働くみんなのマタハラ手帳」
又、「働く女性」の妊娠、出産に関して、男女雇用機会均等法第9条で保護されている禁止行為及び労働省令で定められている事由については次のリンクを参考にしてください。
⇒「男女雇用機会均等法第9条」
※連合は1月23日、男性の「育児と仕事」に対する意識やパタニテイ・ハラスメント(パタハラ)の実態に関する調査結果を発表した。調査は2013年12月初旬にネットで調査した1,000名の有効サンプルを集計したもの。それによると職場でパタハラされた経験がある人が11.6%あり、その内容は制度利用を申請しても認められなかった、上司に育児は母親の役割、育休をとるとキャリアに傷がつく・・・など
【改正労働契約法関係】
Q. 当社には1年ごとの期間を定めた有期労働契約社員と嘱託社員が在籍しております。契約締結後、1年ごとに既に3~4回の契約更新が行われておりますがそれらの社員に対しても、反復更新が5年を超えたときには期間の定めのない労働契約として平成25年4月1日以降適用されるのでしょうか?
A. 平成24年8月10日に公布された改正労働契約法では、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できるルールです。
通算契約期間の計算は、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約からが対象です。平成25年3月31日以前に締結されている有期労働契約は通算契約期間に含まれません。
尚、クーリング(契約が切れている期間が6か月以上の空白期間があるとき)は、通算契約期間に含まれません。(法18条)
Q. 一般社員(期間の定めのない者)と有期契約社員とで職務の内容はほとんど変わりありませんが、待遇面では相違があります。適用の範囲はどの程度まで認められるのでしょうか?
A. すべての労働条件について、適用されます。
有期・無期の期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることは禁止されています。賃金・労働時間・福利厚生・教育訓練・服務規律・安全管理その他付随義務等一切の待遇が含まれます。
労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは職務の内容(責任の程度)、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して判断されます。(法20条)
Q. 企業経営上の理由(新規学卒採用及びその他事情)により、この3月末で期間満了となる契約社員の更新をしない予定ですが、何か問題がありますか?
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対象となる有期労働契約
① 反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
② 有期労働契約の契約期間の満了時に、労働者が、当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
効果・・・上記①、②のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めは認められず、従前と同一の労働条件で有期契約が更新されます。
条文化されたルールの適用対象となるための必要な手続きとしては、労働者から有期労働契約の更新の申込みが必要です。
合理的な理由の有無については、初回の締結時から雇止めされた労働契約の満了時までの間における種々の事情が総合的に勘案されます。契約期間の満了前に使用者が更新回数の上限などを主張したとしてもそれだけで合理的な理由の存在が否定されることはないと思われます。(法19条)
※課題(私見) 法18条では、「2以上の有期労働契約の通算期間が5年を超える労働者は無期契約申込権を行使できる」と定めている。
使用者はその申込みを承諾したとみなされ拒否できなくなる。例外措置も規定されていない。他方、高年齢者雇用法では平成37年4月には希望者全員65歳までの雇用確保が義務付けられている。
65歳までは、原則として契約が更新されることを明示する必要がある。仮に60歳の定年退職後、契約更新し通算5年を超えて65歳に達した者は、無期転換申込権が発生する。
そうなると企業はいつ雇用関係を終了させることができるのかとの疑問が発生する。2度目の定年を定めることが必要になるのだろうか。
【労働基準法~管理職の深夜業務】
Q .当社は業務の性質上365日24時間体制であるが、地震等のリスク管理上、取締役である管理者が深夜に出勤することがあります。その場合に深夜手当を支給したいと思いますが労働基準法及び会社法上問題はありませんか?
A. 労基法では事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者等については労働時間等に関する規定の適用除外を定めています。適用除外になるのは「労働時間」「休憩」「休日」の規定だけであり、深夜業務や年次有給休暇は適用除外になりませんので注意が必要です。(労基法41条)
但し、実質的に監理監督者であるといえる者でも深夜割増賃金が、書面などで基本となる給与(報酬)や管理職手当に加味されていることが明確になっている場合は支払う必要がありません。会社法上も特に問題はないと思われます。